月初に資料を送ったのに、数日後に「この支払いの領収書はありますか」と聞かれる。共有フォルダを開き、送信済みメールを探し、担当者に聞き直す。こうした往復を減らすには、資料と一緒に「何を、どこまで渡したか」を残しておくと役立ちます。
最初に試したいのは、前回聞き返された資料を一つ選び、今回の送付連絡に「不足しているもの・確認する人・確認する日」を添えることです。この記事では、税理士や社内の経理担当者へ毎月資料を渡す人に向けて、その書き方を紹介します。
以下の会社・人物・日付・資料名は、すべて説明用の架空例です。
まず使える、不足・未確認の連絡例
不足しているものが分かっている場合
不足している期間が分かっている口座明細なら、連絡文はこう書けます。
「口座Aの9月明細は、9月1〜25日分を添付しました。26〜30日分は不足しています。事務Aが10月5日に確認し、取得状況を連絡します。」
全部そろったか、まだ分からない場合
領収書の提出漏れがあるか分からない場合は、「3枚受領していますが、これで全部かは未確認です。事務Aが10月5日にBさんへ確認します」と書きます。受け取る人が、今回どこまで届いているかを確かめやすくなります。
確認日にそろわなければ、その時点の結果と次の確認日を連絡します。確認日は、入手や提出が完了する日の約束とは分けておきます。
今日の15分で1件だけ書いてみる
- 最初の5分:前回のやり取りから、聞き返された資料を一つ選びます。
- 次の5分:今月の実物を開き、足りないものがあるのか、まだ全部を確認できていないのかを確かめます。
- 残りの5分:いつもの提出一覧か送付連絡の下書きに、確認する人と日付を添えます。
15分で調べきれなければ、「未確認」のままで構いません。次に誰が何を確認するかまで書ければ、最初の作業は完了です。来月は資料名や欄の形を再利用し、前月の状況・対応・送付記録は残したうえで、今月分を新たに確認して記入します。前月の「そろった」「該当なし」を、そのまま引き継がないようにしてください。
フォルダに入っているだけでは分からないこと
従業員8人の会社で、事務担当Aさんが9月分の資料をまとめたとします。口座の明細、売上請求書の一覧、従業員の領収書を、10月3日にいつもの提出先へ送りました。
ところが、口座明細は9月25日まで。領収書は3枚受け取っていますが、全員が提出したかは未確認です。
ファイル名が全部「9月分」でも、中身の範囲は同じではありません。受け取る人が知りたいのは、どこまで確認できていて、何が後から届くのかです。
渡す資料と対象範囲をそろえる
前回の依頼メールや提出一覧を開き、聞き返された資料を一つ選びます。資料の種類・対象期間・提出期限は、受け取る人との取り決めに合わせます。以下の例が、どの会社でも必要な資料の全種類を示しているわけではありません。
「9月分」だけで迷いそうな資料には、「9月1〜30日の入出金」「9月利用分の立替」のように範囲を添えてください。カード明細など、利用月・請求月・引落月が異なるものは、どの範囲を渡すか先に確認します。資料を集める区切りだけで、会計上の計上月は決めません。
すでに提出管理表があるなら、その行に不足分と次の対応を書きます。表がなければ、いつもの送付メールや連絡文への追記から始められます。
複数の資料は、状況を4つに分ける
複数の資料を扱うなら、状況を次の4つでそろえると見分けやすくなります。
- そろった:取り決めた対象範囲の資料が手元にある
- 一部不足:足りない資料や期間が特定できている
- 未確認:全部そろったか、まだ調べていない
- 該当なし:その月は該当するものがないと確認した
「まだ受け取っていない」を、すぐに「該当なし」にしないことが大切です。該当なしの場合も、誰がいつ確認したかを残します。「そろった」は内容の正しさや会計処理の完了まで示す言葉ではありません。
複数の資料をまとめる場合の引渡し表
既存の提出一覧で足りなければ、次の表をコピーして使えます。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。各行の番号は、後日の連絡で資料を特定するためのものです。
対象月:__年__月 提出先:__ 初回提出予定日:__ 更新担当:__
| 番号・資料 | 対象範囲 | 状況・資料の場所 | 確認内容・次の対応 | 送付記録 |
|---|---|---|---|---|
| 01 __ | __ | __ | __ | 未送付 |
| 02 __ | __ | __ | __ | 未送付 |
| 03 __ | __ | __ | __ | 未送付 |
「資料の場所」には、提出先が開けるリンクか、同じ提出フォルダ内のファイル名を書きます。「確認内容・次の対応」には、確認した結果か、残っている作業と担当・確認日を入れます。
架空の記入例
対象月:2026年9月 提出先:契約先の税理士事務所 初回提出日:10月3日 更新担当:事務A
| 番号・資料 | 対象範囲 | 状況・資料の場所 | 確認内容・次の対応 | 送付記録 |
|---|---|---|---|---|
| 01 売上請求書一覧 | 9月発行分 | そろった/売上一覧_v1.xlsx | Aが10/3に対象期間を確認 | 10/3 v1 |
| 02 口座Aの明細 | 9/1〜30 | 一部不足/明細_0901-0925.pdf | 9/26〜30をAが10/5に確認 | 10/3 一部送付 |
| 03 立替領収書 | 9月利用分 | 未確認/受領3枚のPDF | Bの未提出有無をAが10/5に確認 | 10/3 3枚分送付 |
資料の「状況」と「送付記録」を分けるのは、一部不足のまま送る場合もあるためです。一括提出が必要か、そろった分から渡せるかは、提出先に合わせてください。
追加と差し替えを分けて伝える
送付後に資料がそろったら、同じ行を更新します。送付記録は消さず、「10/3一部送付 → 10/5追加」のように経過を追記します。
ここで気を付けたいのが、追加と差し替えの違いです。
- 追加:No.02の9月26〜30日分だけを送る。先に送った明細と合わせて使う
- 差し替え:No.01の一覧全体をv2として送る。今後参照する一覧をv1からv2へ替える
たとえば、元の請求書にはある1件を一覧へ転記し忘れていた場合は、次のように伝えます。
「No.01の差し替えです。10月3日送付の売上一覧_v1.xlsxに転記漏れが1件あり、v2に追加しました。元の請求書の内容は変更していません。すでに処理済みの場合の対応をご確認ください。」
受け取った人が旧版で作業を始めていることもあります。新版を同じ場所に置くだけで済ませず、何を変えたかを連絡し、相手の返答や対応状況も残します。旧版の履歴や原資料は、社内の保存ルールに従って残してください。
流れは次のとおりです。
対象範囲を確認 → 不足・未確認と次の対応を添えて送付 → 残りを確認 → 追加か差し替えかを明記して連絡
送る前の確認チェック
- □ 必要な対象期間と、今回渡した資料に含まれる範囲を区別した
- □ 不足している資料と、まだ有無を確認していない資料を分けた
- □ 不足・未確認の行に、次に動く人と確認日を書いた
- □ ファイル数と領収書の枚数など、数え方を混同していない
- □ 提出先・共有範囲を確認し、相手が資料を開ける形にした
- □ 追加・差し替えがある場合、元の行番号と変更内容を添えた
表にも取引先名などが載るため、資料と同じく必要な相手だけに渡します。共有範囲を確認する考え方は、IPAの中小企業向け情報セキュリティ対策ガイドラインも参考になります。
また、この表は資料を渡すための一覧です。税務上必要な帳簿・書類や保存要件を、この表だけで満たせるものではありません。国税庁は、保存対象となる電子取引データについて電子保存が必要と案内しています。メール等で受け取った請求書を、表への転記だけで済ませないようにしてください。具体的な保存方法や税務上の扱いは、国税庁の案内を確認し、必要に応じて税理士に相談してください。
最終確認日:2026年10月13日

コメント